『学問のすゝめと信仰のすゝめ』出エジプト記20章12−17節

「学問のすゝめ」で有名な福澤諭吉。彼は自分の子らに「ひびのおしえ(日々の教え)」を与えた。その第二編にある6つの掟は聖書の十戒がベースになっていると言わざるを得ない。第一に「神(ゴッド)なる創造主を畏れ敬い、その心に従うべきこと」が教えられている。彼は禁教令が解かれていない時代、キリスト教宣教師を慶應義塾の教壇に立たせるだけではなく、子らの家庭教師として雇い、自宅の隣に宣教師を住まわせ懇意にしている。諭吉はキリスト教徒とはならなかったが、長男の一太郎は米国留学をしてキリスト教徒となり、次女の俊も洗礼を受け、四女の滝はキリスト者となってYWCAの会長を務めた。信者でない福澤諭吉の教えは、本人の預かり知らぬところで不思議にも「信仰のすゝめ」となり、実を結んだことになる。一時期はキリスト教を排撃する立場の教育者であったが、晩年、新聞の社説にてかつてキリスト教を排斥したことは誤りであったと自己批判をし、日本もキリスト教のような宗教の必要性を説いた(1884.6.6.7「時事新報」)。キリスト者津田梅子の父、津田仙は諭吉を「キリスト教の友」と呼んでいる。 <2019/8/4牧師コラム/先週の説教より