『ただ、祈るしかありません』:コリントの信徒への手紙 第一3章7節

「あなたがたは聖書を持っています。だから、自分で自分を治めなさい。」ミッションスクール女子学院初代院長「矢嶋楫子」の名言である。彼女はキリスト教矯風会の初代会長として封建社会にあった時代の女子教育、女性の人権向上のために生涯をささげた。▼楫子は数ある校則を撤廃した教育者としても知られている。その根拠は「神の愛に感じて、してはならないこと、すべきことの判断ができる人間になることを教えるのが私たちの教育。育てられるのは神です。私たちは祈るしかありません。」との言葉にも表明されている。楫子自身の経験に裏打ちされているのだろう。▼私たちは共に生きる相手に対し少なからずある要求を抱きながら接している。たとえ、どんなに確信のある価値観、正義であったとしても、相手に押し付けた時点で愛から遠ざかってゆく。愛はただ信じ、たた望み、それでも変わらなければ、耐えるしかない(コリント第一13章7節)。本人に気づかせ、成長させるのは神なのだ。私たちはただ、祈るしかない。だが、祈りこそは他者になせる最大の愛の行為のひとつと私は思う。誰も傷付けず、確実に届けられる。振り返れば私たちは祈られて事に気づき、祈られて救われ、祈られて神の恵みを知る者となったのではないか。だから私たちもただ祈り、神にゆだねよう。(2019.9.29礼拝説教より)