『聞く耳のある者は聞くがよい』: ルカによる福音書14章34–35節

われらは今、情報の濁流に囲まれている。作家ジョナサン・スウィフトはかつて「嘘は宙を舞い、真実はその後ろをノロノロとついてくる」と指摘した。SNS全盛の今、嘘が拡散される確率は真実より七割も高いという研究もある。不安を煽る声や過激な見出しが溢れる中、真実を見極めるのは容易ではない。武器輸出や法案を巡る議論など、知るべき情報が等閑視される危うい状況も散見される。聖書は「味を失った塩」の悲劇を語る。塩気を失うとは、心が鈍くなり、真理への感度を失うことだ。単に音として聞くのではなく、その言葉に応答し、自らの生き方を変える。それこそが主イエスの説く「聞く耳を持つ」ということの本質である。権力や流行に左右されない、時代を超えた「生命の言葉」に耳を澄ませたい。自分を隠して素材を引き立てる塩のように、真実の言葉に従う者は、自らの存在を通して他者を生かす。憎しみや裁きの言葉が満ちる時代だからこそ、平和をつくり出し、希望を語り継ぐ存在でありたい。今、どの声に自らを委ねるのか。古くて新しい主イエスの呼びかけが、鋭くも温かく魂に響く。(2026.4.26)