『閉塞感からの脱出」詩編13編1−6節

「主よ、いつまでですか・・・。」(2-3節)詩人は終わりの見えない苦しみに、ひたすら神に向かって窮状を訴える。出口の見えない暗黒のトンネルで不安や思い煩いが心を去らない。果たして終息の見えない感染症、不安との闘いはいつまで続くのだろうか。▼昨今カミュの「ペスト」が再びベストセラーとなっているという。ペストが蔓延する事態の中で繰り広げられる出来事は現代にも通じる。互いに疑心を抱く人々の相互不信、後手に回り続ける行政の対応、愛する人との過酷な別離。不条理が取り巻き、極限状況下における未知の災厄に挑む人々の闘いでは「自分の職務を果たすこと」や「誠実さ」が問われている。▼詩人にとって自らなすべきことは、神に信頼し続けることであった。彼は一条の光が差すように望みを見出す。それは「神の慈しみ(ヘセド)」であった(6)。「誠実」とも訳される言葉だ。移り変わりの多い世においても、神は変わることなく誠実を尽くされる。「わたしはとこしえの愛をもってあなたを愛した。それゆえわたしは、あなたに誠実(ヘセド)を尽くし続けた」(エレミヤ31:3)。神の誠実さに依り頼むことが、望みを繋ぐ脱出の道だ。神はわれらを苦しみのまま捨て置かれない。主イエスが世の光、望みとして共におられる。ゆえにわれらも誠実に、落ち着いてなすべき務めを果たそう。2020.3.22