『心の貧しい人々は幸いである』マタイによる福音書5章3節

74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろっている」(2020年出版:すばる舎)には、著者ミツコさんの日常にある幸せが綴られている。帯には「月7万円の年金暮らしでこんなに明るいひとり老後」とある。老後資金に2000万円必要という試算が発表された後だけに目を引く。著者は元牧師。経済的課題の中でも豊かに生き、「幸い」を見出せるのは、何よりも今も神との関係に生きているからだと思う。人は誰もが幸いを求めて生きている。他人との比較による優劣、物質や余暇、財産や名誉から得られる幸福感は一時的なもので永続しない。ゆえに虚しくもなる。主イエスは、「心の貧しい人々の幸い」を説かれた。原語では「霊の貧しい」という意味で、神との関係における自分自身の弱さ乏しさを含んでいる。心砕け、頼るのは神のみであると信じて生きる。神に祈り、神にすべてを委ねて明け渡し、神を賛美し礼拝するのは、自らの豊かさではなく貧しさゆえである。しかし、そのように神ご自身を求め、待望して生きる道にこそ、天の国(神のお取り仕切り)があらわされ、神の偉大な力と恵みを知るのである。そこでは全部そろっている。朽ちず錆びない宝が備えられており、永続する「幸い」があるのだ 。(2022/4/24(日)