『空の鳥、野の花を見よ』マタイによる福音書６章２４—３４

新年を迎えた。めでたい正月が過ぎ、ふと現実の生活に立ち戻ると明日への悩みは尽きない。今年はどうなるだろうか？主イエスは「思い悩むな」と繰り返し呼びかけ、自分のいのちや身体、生活や将来のことで思い悩む人々に向かい「空の鳥、野の花を見よ」と招かれる。野生の鳥は将来の貯蓄があるわけもなく、人間が面倒を見ているわけではないが、神は養っておられる。たとえ空を見上げる気力なく深くうなだれる日々にあっても、目線の下にわれらを励ます存在がある。地面に咲く野の花は、着飾ったり他と比較しなくても、そのままで美しく健気に咲いている。主イエスは、空の鳥や野の花以上に限りない慈しみをもってわれらを愛し、心を配られる神のご支配に目を向けるよう促される。主イエス自身、貧しさの中に困窮し、病を抱えながら生きる人々や弟子たちのことを日々心にかけ、人々の病や思い煩いをご自身の病として共に歩まれた。われらがこのキリのない思い煩いから解放されるよう招かれるのは、根源的に思い悩んでおられるのは神の側であるという逆説であって、他ならぬ神ご自身が心を尽くし思いを尽くしてわれらの必要な一切を備えて満たそうと顧慮しておられるからなのだ。明日を支配できるのはわれらではなく神である。「思い煩いは何もかも神にお任せしなさい。神があなたがたの事を心にかけておられるからである」(Ⅰペトロ5:7)今年も1日1日精一杯、神に信頼しきって歩もう。このお方は希望のご計画をもって今日も、われらと共におられる。(2022.1.2)