『十字架の光に照らされ』:ヨハネによる福音書12章26-36 節

時の支配者が権力や金で世を支配し、自らが利益を得る生き方を貫こうとする中、主イエスは損得勘定とは無縁の生き方で愛を貫かれた。いのちに優劣をつけ、地位や名誉を守るためにはあらゆる不正、虚偽、武力までも総動員して邪魔者を排除しようとする世にあって、主イエスは善人にも悪人にもすべての人に向けられている神の愛を説き、自らも弱さにおかれた者たちを尊び、敵に対しても愛で応じられた。何の利益を得ることなく世に捨てられ、孤独に苛み、死におびえ、絶望的な苦しみの中にある者たちに伴われたキリスト。彼は十字架を通してこの世の闇を明らかにされた。主イエスの十字架は、「光」として隠れた人間の罪を暴く。同時にキリストの十字架は、「光」としての神の愛を明るみにして救いを与える。どんなに悪しき勢力に囲まれたような闇夜を歩む日々にあっても、闇が光に勝ることは決してない。われらは十字架の光に照らされて生きるいのちに招かれている。たとえ小さくても光に導かれ足もとが照らされるならば、いのちは輝くのだ。(2024.3.24)