「♩ぞうさん、ぞうさん、お鼻が長いのね。そうよ、母さんも長いのよ」作者のまどみちお氏によれば、象の子は自分が象であることを喜んでいるのだという。理由は大好きな母と同じだから・・・。母の日は教会から始まった行事であるが、作者のまど氏も青年時代に教会で洗礼を受けている。メルロ・ポンティー(幼児心理学者)は、隣の子の玩具を見て泣きわめく姿に、自分と他者の違いを区別することの出来ない未熟性が「嫉妬」となってあらわれていることを指摘しているが、大人といえども社会にあっては他者と比較しながら一喜一憂する。復活の主イエスはペトロを愛し、彼のあるがままを受容しつつ、彼が果たすべき使命へと導かれた。一方、同じ弟子であり、主イエスに愛されたと者と自称するヨハネ。ペトロは彼の行く末をイエスに問う。しかしイエスはあくまで、ペトロ自身を招く「あなたは、わたしに従ってきなさい」と。人は他者との違いに劣等意識があったとしても、自分を完全に認めてくれる存在によって個性を喜び、自分にしか果たせぬ使命に専心する。神は他者と比較しながら個人と関わることをなさらない。ひとり一人をかけがえのない高価で尊い存在として愛されるからだ。主イエスを通して現される神の愛は全ての者に等しく及ぶ。2020.5.10