『神の国のたとえ』マルコによる福音書4章21−25節

「花は咲くときはがんばらない。ゆるめるだけ」ある中学生が大切にしている言葉が新聞に紹介されていた。<朝日新聞「天声人語」2016.1.27>綺麗な花を咲かせるその姿は、われらの知らぬ間に、あたかも強張った蕾をゆるめるように花開く。いのちが活き活きと輝くのは、時に自分の気負いや頑張りによらず、むしろ自分の力をゆるめる時かも知れない。上手く物事が進展しないかに思う時、不安の中に萎縮し、身動きが取れないような時、われらは何かに力んでいる。神の国はいのちが守られる領域であり、いのちといのちが共生する。主イエスの言葉は神の支配、そのお取り仕切りによって、聞く者に大いなる恵みをもたらす。それは「種」のように人の内に蒔かれ、知らぬ間に自ずと成長していく。神の言葉自体に命と力があるからだ。主イエスとそのみ言葉に信じる事はある意味、自分の力をゆるめる時である。人と比べて背伸びする事をやめ、自分自身の内側ばかりを見て結果を気にするのでもなく、神のご支配に身を委ねる事である。そこに結実がある。(2020.10.11)