「見えないものを尊ぶ」ルカによる福音書17章20-24節

「一番大切な事は、目に見えない」世界中で愛される「星の王子様」の一節。作者のサン=テグジュペリはパイロットとして砂漠に不時着した経験を持つ。生死をさまよう経験のなかで彼が知った一番大切なこと。それは目には見えなくとも何処かに隠されている希望だったのかも知れない。「御国を来たらせたまえ」とわれらは祈るが、「神の国は見えるものではなく、われらの間にある」と主イエスは言う。希望や神の国が見えないのは、きっとわれらが何処でも誰とでも「繋がっているため」であり、求め合う交わりのなかに「宝」が隠れているからなのかも知れない。愛するものの存在は、世の中の見方を変える力がある。「あたり一面何も見えない、何も聞こえない。それでもその静寂にあって何かがひっそりひかっている・・。」(河野万里子訳・新潮文庫p.116)希望はどこかに隠れていても、われらを照らしている。心の目を凝らすと砂漠のように枯渇し、潤いのない日々にさえ美しさが見えて来る。目に見えるものに対する希望は希望ではない。主イエスを信じて求め神の国を待ち望む。そのために費やす時間、忍耐の分だけかけがえのない宝となる。そこで出会うのはわれらを歓喜につなぐ永遠の絆なのだ。(2022.8.28)

2022/8/28(日)礼拝講壇生け花 by ISHIMARU