「メメント・モリ」とはラテン語で「死を憶えよ」の意味で、中世の修道士たちの合言葉であった。Appleの創業者スティーブ・ジョブスは17歳の時、「毎日を人生最後の日だと思って生きよう。いつか本当にそうなる日がくる」との言葉に出会い、33年間毎朝鏡に向かって自分に問い続けて生きたという。死を前に問われるのは本当に重要なことだけである。死を覚悟して生きるなら、何かを失う心配よりも、自ずと今なすべき正しいことがわかる。旧約聖書に登場するヨブは、突如人災と天災に立て続けに見舞われ、財産も息子娘もすべて失う・・。彼ほど辛い経験をした人物は旧約聖書中他に例をみない。しかしヨブは言う。「わたしは裸で母の胎を出た。裸でそこに帰ろう」と(ヨブ記1:21)。彼は無垢で悪を避け、神を畏れて生きた義人と呼ばれている。われらは何も持たずに生まれ、人生で得たものは死をもってすべて手放す。誰もが最期はひとりで死を迎える。だが、われらは孤独で苦しいまま死ぬのではない。主イエスがはじめにも今も、終わりまで共にいてくださる。死を忘れず生きることは、悪を避けて正しく生きる道へと導き、主イエス・キリストへと導く。死を忘れずに生きることは、われらを愛し、われらの罪の赦しのため十字架に死なれ、復活された主イエスを常に憶えて生きることなのである。(2022/10/16)
2022/10/16(日)礼拝講壇生花 by YOSHIKO