『空腹からの希望』:マタイによる福音書4章1–4節(2023.1.15)

戦乱と干ばつに苦しむアフガニスタンで、36年間にわたり人道支援を続けた中村哲さん。彼が銃弾に倒れてから3年が過ぎた。「人間にとって本当に必要なものは、そう多くはない。少なくとも私は「カネさえあれば何でもできて幸せになる」という迷信、「武力さえあれば身が守られる」という妄信から自由である。・・・今大人たちが唱える「改革」や「進歩」の実態は、宙に縄をかけてそれをよじ登ろうとする魔術師に似ている。だまされてはいけない。「王様は裸だ」と叫んだ者は、見栄や先入観、利害関係から自由な子供であった。それを次世代に期待する。」(中村哲『天、共に在りアフガニスタン三十年の闘い』NHK出版p.245-246)今も彼の言葉がよみがえる。主イエスは荒れ野の誘惑において目先の必要に迫られながらも、安易な手段で得ることを望まず、人を真に生かしめているものは何かを示された。最期は十字架から降りることも望まず死なれた主イエス。しかし神は彼を復活させられた。目先の必要とその利益だけに心奪われ、本当に重要な必要を見失いそうな誘いは今も威力を増してわれらを試みる。容易な手段ばかりに心を向けず、神の言葉に信頼して生きる者に約束された希望を見出したい。(2023.1.15)


2023.1.15(日)礼拝講壇生花 by ISHIMARU