『飼い葉桶の主イエス』:ルカによる福音書2章13−21節

ルカ福音書2章では「飼い葉桶に寝かされる乳飲み子」が3度登場する。それが救い主誕生の「しるし」であり、飼い葉桶に寝かされている主イエスこそが、救いのシンボルとされているのだ。「飼い葉桶」とは、家畜の「餌箱」である。あたかも主イエスが、その場にいる者に差し出されている食べ物のようである。ルカはベツレヘムで生まれたキリストを伝える。ベツレヘムは「パンの家」という意味がある。ヨハネ福音書では、主イエスが「わたしは命のパンである」と語り、「わたしを食べる者は生きる」と霊的な意味でご自身を象徴的に語られた。人が本当の命に生きるために必要な糧としてご自身を食べ物のように差し出されたのだ。愛する者のために与える物にも様々あるが、「わたしを食べよ」とは究極の与え方ではないだろうか。自分を生かすのではなく、相手を生かす究極の与え方である。飼い葉桶に寝かされた救い主は、主イエスの十字架での死を想起させる。人間の罪の餌食となって体が裂かれ、血を流されたのだ。それは私たちを罪から救うために差し出された命である。「神はそのひとり子を与えるほど世を愛された。それは御子を信じる者が一人も滅びることなく、永遠の命を得るためである」(ヨハネ3:16)主の晩餐式を通して主の愛を分かち合おう。(2024.6.2)