『新しさは普通に』:ルカによる福音書5章33−39節

秋空に描かれる飛行機雲。上空を駆け抜ける飛行機を見ても今は腰を抜かす人はいない。昔は考えられなかった事が現代では当たり前になっている。もし50年前の人に最新のスマホとその機能を見せたら、きっと目を丸くして大興奮するに違いない。だが、新しいものほど最初は誤解や批判の対象となりやすい。スマホのスクロール機能は当初操作しにくいと不評だったが、今ではほとんどの人が普通に使いこなしている。新しいは普通になってゆく。主イエスの教えや行為ほど当時誤解され、批判されたものはない。けれどもよいものだったので残り、彼を排斥したグループは歴史から姿を消した。常識や習慣が常に正しいとは限らない。何事も先入観や偏見で決めつけない柔軟性。それは新しい革袋のようによきものを生み出し、新しい気付きへと心を向わせる。キリストの愛が大きく広がり、世界を変えて行ったように、よいものは必ずスタンダードになってゆく。「古いものが良い」と人は言うが、それも当初は新しいものが熟成されていったに過ぎない。思い通りにいかぬ事、価値観の異なる人との出会いもまた「新しい」に過ぎない。それを受け入れるしなやかで柔軟な心。そこから活き活きとした喜びが発酵し、芳醇なる感謝がキリストの愛と共に熟成されてゆく。(2024.10.27(日)