
「世界で最も貧しい大統領」と呼ばれたウルグアイ元大統領ホセ・ムヒカさんが5/13にその生涯を閉じられた。収入のほとんどを貧困層に寄付し、自らは質素な暮らしを続けていた。「貧しい人とは、限りない欲を持ち、いくらあっても満足しない人のことだ。でも私は少しのモノで満足して生きている。質素なだけで、貧しくはない」(朝日新聞とのインタビューより)彼は過度な資本主義に警鐘をならし、人間本来の幸せを世界に問いかけた。モノや金銭への執着心がない人の言葉には説得力がある。主イエスはその生涯において清貧を貫かれ、十字架の死にいたるまで「自分」ではなく、父なる神のご意志に従われた。十字架は「苦しみ」の代名詞でもあるが、「十字架」なくして「復活」はなかった。主イエスは招く「わたしに従って来なさい」と。自分を捨て、日々十字架を背負うとは小さな死の連続である。『小さな死とは、自分のわがままを抑えて、他人の喜びを生きる生き方をすること、面倒なことを面倒くさがらず笑顔で行う事、仕返しや口答えを我慢するなど、自己中心的な自分との絶え間ない闘いにおいて実現できるもの』(渡辺和子著「置かれた場所で咲きなさい」)。「自分」という我意を葬る時に、新しい命が輝き出す。一粒の麦、地に落ちて死ねば多くの実を結ぶ。主イエスは朽ちない喜びにわれらを招いておられる。(2025.5.18)