
「♩幸せなら手をたたこう」の歌は、詩編47編の「すべての民よ、手をたたけ」に由来しているそうだ。作詞者は国際的な生命倫理学の第一人者、木村利人さん(早稲田大学名誉教授)。彼は東京大空襲で自宅を失い、原爆や戦争で親戚を亡くした一人として被害者意識を持っていた。しかし1959年、フィリピンを訪れた彼は、現地で日本軍の加害の歴史と現地の人々の深い恨みに直面する。それでも1ヶ月間、地元の青年たちとYMCA(キリスト教青年会)農村復興ワークキャンプで共に汗を流しながら活動した。ある日、ラルフという青年が彼のもとに来て言った。「自分は戦争で父を亡くした。日本人が憎らしくてたまらなかった。けれども一緒に聖書を読み、活動しているうちに心に変化が起きた。君が戦争をしたわけではない。僕たちはキリストにあって友達だ」。そう言って和解の言葉をかけ、一緒に涙を流して祈り合ったという。その時に読んだ聖書が詩編47編であった。以降、ルソン島の人たちが態度に示して親切にしてくれた体験から感謝を込めて作詞し、よく知られた民謡のメロディーにのせて歌うようになった。日本では坂本九さんが歌い、東京オリンピックでも紹介されたことから世界中に広がっていったという。「幸せなら、手をたたこう」という歌は、クリスチャン同士の交流を通して、憎しみから、和解と平和への祈りとして生まれた。「すべての民よ、手をたたき、歓呼の叫びをあげよ」われらの「手」は武器をとるためではなく、拍手をもって相手を称賛し、祝福し合うためにあるはずだ。神のもとでは、すべての民族が共に、神の平和からくる幸せに招かれている。(2025.8.3(日)